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「コンテンツ」「セールス」「プラットフォーム」―個人でも情報発信できる今、メディア事業本部長があらためて語るメディアの強みとは 

Youtube、SNS、noteなど、さまざまなプラットフォームで個人でもメディアのような情報発信ができるようになった今日。

それでは、メディアならではの強みや存在意義はどのようなところにあるのでしょうか? 
イードのメディアを取りまとめるメディア事業部 本部長にして、2025年度新卒採用二次面接の面接官でもある土本さんにお話を聞きました! 

土本 学 Manabu Tsuchimoto 
2007年新卒入社 メディア事業部 本部長 

入社と同時にゲーム情報メディア「インサイド」の編集長を務め、入社5年目からアニメメディア「アニメ!アニメ!」のマネージャーを兼務。入社10年目で社長室へ異動になり一度メディア事業を離れるが、入社11年目にメディア事業本部 本部長へ就任。
現在は株式会社イードの執行役員も務める。 

◆高校時代に作ったサイトを売却し、「編集長として新卒入社」 

――本日はよろしくお願いします。まずは、土本さんの経歴を教えてください。 

今、イードが運営しているメディアのひとつであるゲーム関連ニュースサイトの「インサイド」は、元々は僕が高校時代に作ったサイトでした。 

大学卒業を機にサイトを売却しようと考えていたところに声をかけてくれたのがイードの前身企業であるIRI-CT(株式会社IRIコマース&テクノロジー)で、現在もイードの代表を務めている宮川さんが「サイトを変わらず運営するために、会社に入ってくれないか」とお誘いくださったので、就職先をイードに決めました。 

現在も土本さんの遺志を継いで情報発信を続ける「INSIDE」

――そうした経緯から、土本さんは新卒で入社してすぐ編集長に就任されたと聞きました。 

肩書きのうえではそうですね(笑)。まずはゲームメーカーに自分たちのことを知ってもらわねば…と、アポを取ってキーマンを訪ねるところからのスタートでした。学生時代は数名の仲間たちとやっていたようなものですので、大きな売上もなかったのですが、 

イードに加わった後には事業責任者として少しずつスタッフを増やしながら、海外ゲームに焦点を当てたニュースサイト「Game*Spark」、アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」をM&Aで取得し、なんとか期待通りの利益を出せるようになっていきました。かいつまんではいますが、入社して最初の9年ほどはそんな感じです。 

――そのタイミングで、ターニングポイントが訪れたそうですね。 

Webメディアの運営はやりきったかな……と思っていた矢先に宮川さんから社長室への異動を命じられ、M&Aや他社との協業を手がけました。 

協業とはつまり「こちらの強みとそちらの強みを合わせて、新しい仕掛けをしましょう」という話を持ちかけることですので、必然的に「イードの強みってなんだろう?」という原点に立ち返ることになります。 

それは自分にとって新しい視座で「メディア運営をやりきったなんてとんでもない。まだやれることがたくさんあるじゃないか」という気付きを得ることができました。そうして10カ月ほどが経ったころにメディア事業全体の責任者をやってみないかというお話をいただいたのであらためてチャレンジすることにしました。 

母校で講演会を行う土本さん

――社長室での業務で土本さんが見出した、イードの強みを教えてください。 

「複数のメディアを持つことによる専門性の高さ」です。それぞれのメディアに情熱をもって仕事に臨んでいる人たちがいて、各々の業界に深く精通している。イードはこの「専門性×熱量」という強みをもっと伸ばすべきだと判断し、メディア事業本部に戻って最初にしたのは「各分野に特化した部署をたくさん新設する」ことでした。 

◆必要な情報がいつもそこにあるとはかぎらない 

――土本さんが思うメディアの役割を教えてください。 

僕たちの日常において、情報はとても大切です。趣味を楽しむときにも、なにかの可否を判断するときにも、等しく必要となるのが情報です。しかし「ほしい情報がきちんとそこに存在するか」は、まだ当たり前のことにはなっていません。情報そのものがなかったり、情報があっても偏ったりしていることが多く見られます。 

趣味の話に限定しても、今は趣味がとても細分化しているのでまだカバーされてない領域というものが存在します。その空白を埋める手段のひとつとなるものがメディアで、ここには大きなチャンスがあります。 

メディアを語るうえでは、昨今の少子高齢化問題も欠かせません。日本社会は今後縮小していく一方ですので、「今までは当たり前のように触れることができていたコンテンツや情報を発信できる存在が、ある日を境にいなくなる」危険性をはらんだ領域もたくさんあります。その事態を避けたい・なくしたいという思いも強く持っています。 

今はインターネットがある、SNSがある、テキスト生成AIに教えてもらってもいい……そう思う人もいるでしょう。実際に、情報があふれかえっている領域も確かにあります。しかし、そういった領域では「雑多な情報を整理し、適切な形にパッケージングして発信できる」のもメディアの大きな役割だと思っています。 

◆メディア業界が抱える課題と、イードの現状 

――現在のメディア業界を取り巻く環境をどう見ていますか。また、その中でイードの現状がどのようなものであるかも教えてください。 

先ほどの少子化の話と一部重複しますが、インターネットメディア業界全体が抱える一番の課題は「日本のネットユーザー数はもう頭打ちである」ということです。 

母数が増えないのであれば、ユーザー1人1人とのつながりをより一層重視しなければなりません。これからは「ユーザーの数を100万、200万と増やしていく」ではなく、「そのユーザーたちとどのような関係を築けているか」が重要になります。 

ユーザーたちと関係を深めるためにしているイードの取り組みのひとつが「会員制度」です。会員になってもらえればメディアからもアプローチしやすくなるので、双方向性が強まります。これからのメディアは従来のBtoBビジネスだけでなく、BtoCビジネスにもより一層注力すべきだと考えています。 

株式会社イード決算補足説明資料‗24期4Qより、抜粋

――メディアにとっての「BtoBビジネス」とは、どのようなものなのでしょうか。 

Webメディアは基本的にBtoBの広告ビジネスです。
メディアを見てくれるユーザーから対価をいただくのではなく、企業に広告を出稿してもらうことで利益を得ています。つまり、メディアにとってユーザーは「広告主に出稿を決断させるための説得材料」であるともいえます。 

もちろん、そうした視点だけではユーザーからの支持が得られません。記事を読んでくれるユーザーがいるから、広告を取れる。広告を取れるから、ユーザーにより良質な記事を届けられる。常に両方のバランスを取る必要があります。 

――メディアの「BtoCビジネス」についても教えてください。 

「ユーザーに向けてもビジネスをする」ということですので、一例としてはり価値のあるコンテンツを提供することで対価をいただく、イベントを開催してチケットを買ってもらう、自分たちで商品をプロデュースして販売していく……などが考えられます。 

BtoBビジネスとBtoCビジネスをうまく組み合わせられれば、メディアにはまだまだ伸びる余地があります。「ユーザーがお金を払ってでも欲しいコンテンツ」を作れるかが肝要ですね。メディアは読者と一番近い位置にいるので、それを考える材料は沢山手元にあります。 

◆メディア事業はAIとどのように向き合うべきか 

――昨今は、さまざまな業界でAIが活用されています。
メディア事業本部としては、AIとどのように向き合っていくのでしょうか。 

AIは早晩世の中に広がっていくと思います。ただ、AIに記事やコンテンツそのものを作らせることはまだ難しいので、当面は一部の業務の効率化や自動化がメインとなるでしょう。仕事にPCやスマホを活用するのが当たり前のように、AIを活用するのも当たり前になります。 

今日の仕事に100%の力を使ってしまうのではなく、AIを活用して80%の力で終えられるようにする。そうすれば、自分の今後のキャリアにつながる仕事により一層集中できますし、新たな企画を練る時間も確保できます。それは個々人にとっても、メディアにとってもよいことです。 

AIにかぎらずPCやスマホが普及したときにもいえることですが、新たな技術を手にしたことで大きく羽ばたいた人がいれば、うまく使いこなせずあまり変われない人もいました。イードのスタッフは全員に大きく羽ばたいてほしいですし、そのための環境を整えていきたいと思います。 

――そうした未来を見すえ、メディア企業としてどのようなビジョンを持っているか教えてください。 

これからは、個人がますます力を持つ時代になっていきます。動画を作って配信したり、noteで記事を作って公開したりすれば、個人でもメディアと同じようにコンテンツを発信できるのが今という時代です。 

しかし、コンテンツをプロデュースして「メディアビジネス」にできる人は多くありません。メディアの価値を見い出し、広告を含むビジネスに繋げていったり、動画や記事を公開する仕組みそのもの(≒プラットフォーム)を作れる人は、まだ多くはありません。 

「Contents is King」なのでコンテンツが重要なのですが、コンテンツ、ビジネス、プラットフォームという3つの要素を高いレベルで保つ事がメディアビジネスの成否を分けるポイントで、ここがイードの強みだと思っています。 

これからもコンテンツを作る人、情報を発信したい人にとって、最適な基盤を提供できる会社であり続けたいですね。 

◆「メディアの特権」でユーザーを楽しませたい人を歓迎 

――最後に、新入社員に求める人物像を教えてください。 

メディアは「公器」と呼ばれる事もありまして、適切な形で世の中に情報を流通させていくことは大事だという社会的な合意があります。

だからこそ、色んな会社や人に取材ができたり、発表会に呼ばれたり、世の中の新しいこと、深い部分に触れられる場面が多くあります。ただ、そうした機会を活かせるかどうかは好奇心かなと思っています。 

好奇心を持って世界を楽しんで、そして、同じくらいに人を楽しませたい。
そういうサービス精神やいたずら心みたいなものを胸に楽しめる人と一緒に仕事ができたらな、と思います。 

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